M1 MacBook Air で Genesis 物理シミュレーターを使い、ロボット向け高速シミュレーションを試しました。Genesis は Google DeepMind 出身の研究者らが開発した次世代物理エンジンで、MuJoCo や IsaacSim に代わる選択肢として注目を集めています。GPU を使えば毎秒数千万ステップの超高速シミュレーションが可能ですが、M1 Mac の CPU だけでどれだけ出るかを計測しました。
物理シミュレーションとは
物理シミュレーターは、ロボットの関節・重力・摩擦・衝突をコンピューター上で再現するソフトウェアです。毎ステップ「各関節にどれだけ力をかけるか(-1〜+1 の数値)」を指定すると、物理法則に従って次の姿勢が計算されます。これを 1 秒間に数百〜数千回繰り返すことで、ロボットの動きをリアルタイムより速く模擬できます。
強化学習(AI がゴールに向けて試行錯誤しながら動作を学習する手法)では、この高速シミュレーションを何百万回も回してデータを集め、制御アルゴリズムを訓練します。シミュレーターで学習した動作を実機に転用する手法を Sim-to-Real と呼びます。
検証環境
- MacBook Air(Apple M1 / 16 GB)
- Genesis 1.2.1 / Python 3.11 / uv 経由で実行
- バックエンド: CPU(Apple M1)
- シーン: 剛体オブジェクト(球・直方体)+平面
実測結果
- シミュレーション速度: 3,590.1 steps/秒
- リアルタイム倍率: 35.9x(タイムステップ 10ms)
- 10,000 ステップ実行時間: 2.79 秒
CPU バックエンドでの 3,590 steps/秒は MuJoCo の同等シーンより低速ですが、Genesis の真価は GPU 並列実行にあります。NVIDIA GPU 環境では同じシーンが毎秒数百万ステップに達し、1 日分の強化学習を数分で完了できます。M1 Mac では CPU のみでの動作確認が主な用途ですが、クラウド GPU との組み合わせで本番的な研究ワークフローを構築できます。Python の uv コマンド一発でインストール・実行できる手軽さも Genesis の強みです。