M1 MacBook Air で MuJoCo を使い、ロボットアームの衝突検出性能を計測しました。衝突検出(コリジョン検出)とは、ロボットのリンクや周囲の障害物が互いに接触しているかをリアルタイムで判定する処理です。把持や組み立てなど実用タスクでは欠かせない機能で、シミュレーター上での性能がそのまま強化学習の速度に直結します。
物理シミュレーションとは
物理シミュレーターは、ロボットの関節・重力・摩擦・衝突をコンピューター上で再現するソフトウェアです。毎ステップ「各関節にどれだけ力をかけるか(-1〜+1 の数値)」を指定すると、物理法則に従って次の姿勢が計算されます。これを 1 秒間に数百〜数千回繰り返すことで、ロボットの動きをリアルタイムより速く模擬できます。
強化学習(AI がゴールに向けて試行錯誤しながら動作を学習する手法)では、この高速シミュレーションを何百万回も回してデータを集め、制御アルゴリズムを訓練します。シミュレーターで学習した動作を実機に転用する手法を Sim-to-Real と呼びます。

検証環境
- MacBook Air(Apple M1 / 16 GB)
- MuJoCo 3.10.0 / Python 3.14.2
- モデル: 3自由度ロボットアーム(アクチュエータ 3本)
- 衝突検出: MuJoCo デフォルト(凸包ベース)
実測結果
- シミュレーション速度: 17,928 steps/秒
- リアルタイム倍率: 35.9x(タイムステップ 2ms)
- 100,000 ステップ実行時間: 5.58 秒
17,900 steps/秒超えは、衝突判定を含むフルシミュレーションでも M1 CPU だけで十分な速度が出ることを示しています。MuJoCo は凸包(オブジェクトを多面体で近似して接触を計算する手法)による高速な衝突検出を標準搭載しており、把持タスクや障害物回避の強化学習を GPU なしで実験できます。100 万ステップあたり約 56 秒という速度は、初期プロトタイプの試行錯誤に十分実用的な水準です。
