SO-101は、Hugging FaceのLeRobotコミュニティが開発を主導する低コスト・オープンソースのロボットアームです。市販のサーボモーターと3Dプリント部品で自作でき、模倣学習(人の操作データからロボットの動作を学ぶ手法)の実験環境として世界中の研究者・愛好家に使われています。今回はこのSO-101をMuJoCo上でシミュレーションし、M1 Macでの動作性能を計測しました。

物理シミュレーションとは

物理シミュレーターは、ロボットの関節・重力・摩擦・衝突をコンピューター上で再現するソフトウェアです。毎ステップ「各関節にどれだけ力をかけるか(-1〜+1の数値)」を指定すると、物理法則に従って次の姿勢が計算されます。これを1秒間に数百〜数千回繰り返すことで、ロボットの動きをリアルタイムより速く模擬できます。

強化学習(AIがゴールに向けて試行錯誤しながら動作を学習する手法)では、この高速シミュレーションを何百万回も回してデータを集め、制御アルゴリズムを訓練します。シミュレーターで学習した動作を実機に転用する手法をSim-to-Realと呼びます。

検証環境

  • 機種: MacBook Air(Apple M1 / 16 GB)
  • シミュレーター: MuJoCo 3.10.0
  • モデル: SO-101(mujoco_menagerie収録の公式モデル、6自由度)
  • ステップ数: 100,000ステップ

実測結果

  • 自由度(DOF): 6
  • アクチュエータ数: 6
  • 実行時間: 1.42秒 / 100,000ステップ
  • 速度: 70,348 steps/sec
  • リアルタイム比: 351.7倍(実時間の351倍の速さでシミュレーション可能)

SO-101のような低コストアームでも、M1 Mac上でリアルタイムの350倍以上の速度でシミュレーションできることが確認できました。実機は数万円で製作可能なため、Sim-to-Realによる模倣学習・強化学習の実験を手元のMacだけで気軽に試せる点が、フィジカルAI研究の裾野を広げています。