M1 MacBook Air で MuJoCo を使い、Franka Emika Panda のシミュレーションを動かしました。Franka Panda は世界中の大学・研究機関で使われている 7 自由度のロボットアームで、MuJoCo のモデルリポジトリ mujoco_menagerie に公式 MJCF モデルが収録されています。強化学習による把持・操作タスクの研究では事実上の標準機体であり、M1 Mac でどれだけ高速にシミュレーションできるかを計測しました。
物理シミュレーションとは
物理シミュレーターは、ロボットの関節・重力・摩擦・衝突をコンピューター上で再現するソフトウェアです。毎ステップ「各関節にどれだけ力をかけるか(-1〜+1 の数値)」を指定すると、物理法則に従って次の姿勢が計算されます。これを 1 秒間に数百〜数千回繰り返すことで、ロボットの動きをリアルタイムより速く模擬できます。
強化学習(AI がゴールに向けて試行錯誤しながら動作を学習する手法)では、この高速シミュレーションを何百万回も回してデータを集め、制御アルゴリズムを訓練します。シミュレーターで学習した動作を実機に転用する手法を Sim-to-Real と呼びます。

検証環境
- MacBook Air(Apple M1 / 16 GB)
- MuJoCo 3.10.0 / Python 3.14.2
- モデル: Franka Emika Panda(9自由度 / アクチュエータ 8本)
- モデルソース: mujoco_menagerie(Google DeepMind 公式)
実測結果
- シミュレーション速度: 37,149 steps/秒
- リアルタイム倍率: 74.3x(タイムステップ 2ms)
- 100,000 ステップ実行時間: 2.69 秒
37,000 steps/秒超えの速度は、PPO(近接方策最適化)や SAC(ソフトアクタークリティック)といった強化学習アルゴリズムで Franka の把持タスクを学習させる際に必要なサンプル数(数百万ステップ)を数分で収集できる水準です。GPU なしの M1 CPU だけで、世界標準の研究用アームのシミュレーション開発環境が整うことが確認できました。
